延世大、IBM Quantum Nighthawk r2を稼働 回路処理25倍
延世大学がIBMの最新量子プロセッサ「Nighthawk r2」を稼働させた。IBM Quantum Network参加機関の自前施設への導入は世界初という。

韓国の延世大学は、IBMの最新量子プロセッサー(QPU)「IBM Quantum Nighthawk r2」を導入し、バイオ分野の難題研究を拡大する。IBM Quantum Networkに参加する機関が自らの施設に構築した例としては世界初という。スーパーコンピューターと連携させ、疾患メカニズムの解明や創薬研究に活用する計画だ。
延世大とIBMは4日、仁川の松島国際キャンパスで稼働式を開いた。2024年に127量子ビットのEagleを搭載した「IBM Quantum System One」を導入してから2年ぶりの更新となる。
回路処理量はHeronの25倍
Nighthawk r2はプログラム可能な量子ビットを120個備える。数は従来より減ったが、接続性と初期化速度を改善し、複雑な回路を効率よく実行できるようにした。演算後の量子ビットを初期状態に戻す時間を短縮し、毎秒10万回路以上を実行できる。IBMによると、回路処理量はHeronの25倍だ。
多くの量子ビットが隣接する4個と接続する正方格子構造を採用した。離れた量子ビット間で演算するためのスワップゲートが減り、回路構成の効率が上がり、誤差の蓄積も抑えられるという。IBMは7500個以上のゲートからなる回路で正確な観測量の推定結果を得たと説明する。IBMフェローのジェリー・チョウ氏は、中性子散乱シミュレーションで12倍の高速化を確認したと述べた。顧客やパートナーの一部の作業でも、全体の処理時間が3倍から最大19倍短縮されたという。
研究計画と今後
延世大は量子・AI・バイオの融合研究に用いる。主な対象はミトコンドリア電子伝達系の変異やリー症候群などで、「延世バイオ・クオンタム・イニシアチブ」の研究チームが量子と古典コンピューターを組み合わせたハイブリッド方式で分析する。今年3月には理化学研究所、IBMとともにスーパーコンピューター「富岳」と同大の量子コンピューターを接続し、サンプリング計算環境を整えた。今後は難治がんや加齢に伴うエネルギー代謝異常へ対象を広げる。
企業や大学、研究機関などは、利用資格と研究内容の審査を経てクラウド経由で利用できる。量子情報学の修士・博士課程の教育や産学連携にも使う。
IBMは毎秒10万回路の性能を保ちつつ、量子ビットを500個以上に増やす次世代Nighthawkを開発する。複数装置を接続して1000量子ビット超に拡張し、2029年の誤り耐性量子計算の実現を目指す。
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