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Astroteq.ai、クラクフ・ヴァヴェルの丘にミューオン検出器

スタートアップAstroteq.aiが、クラクフ・ヴァヴェルの「ドラゴンの洞窟」に0.5平方メートルのミューオン検出器を設置。掘らずに丘の空洞を探る。

A small muon detector installed in the underground Dragon's Den cave beneath Wawel Hill in Kraków.
画像: MamStartup

ポーランド・クラクフのヴァヴェルの丘の地下に、面積わずか0.5平方メートルのミューオン検出器が設置された。大気上層で生まれた粒子を記録し、一度も掘削することなく石灰岩の内部にある未知の空洞や歴史的なトンネルを探る狙いだ。プロジェクトの中心にいるのは、原子核物理学者でスタートアップAstroteq.aiの創業者、ノエミ・ザバリ博士である。

ミューオンで丘の内部を「透視」する

ヴァヴェルの丘は、何世紀にもわたる城壁や基礎、自然のカルスト洞窟が重なった場所で、全容は今も研究者に分かっていない。保護の対象となる場所での従来型の発掘は、歴史的構造物を傷つけ、観光を止めるおそれがある。そこで使われるのが、ミューオン radiography(ミュオグラフィ)だ。宇宙線が大気中の原子と衝突して生じるミューオンを利用する。

原理はX線撮影に近く、大気がX線管の役割を、丘が被写体の役割を果たす。ミューオンは光速に近い速度で進み、数百メートルの岩も通り抜けるが、物質の密度に応じてエネルギーを失う。密な石灰岩では吸収・散乱が強く、検出器に届く数は減る。空洞や忘れられた通路、地下墓所では抵抗が小さく、その方向でミューオンの流れが濃くなる異常として記録される。ドラゴンの洞窟の装置は受動型で、数週間にわたり粒子の軌跡を数え、丘の3次元密度プロファイルを作る。

研究室から事業へ

ザバリ氏はAstroteq.aiの発案者でCEO。同社は欧州宇宙機関のESA BICインキュベーションプログラム出身で、宇宙線の異常を手がかりにした地震予測システムを開発している。この考え方は、クラクフのポーランド科学アカデミー原子核物理学研究所が立ち上げた国際コンソーシアムCREDOでも研究されている。

同じ手法は2017年、ScanPyramidsチームがギザのクフ王のピラミッドで長さ30メートル以上の「大空洞」を発見した際にも使われた。

ヴァヴェルでの計測は長期に及ぶ。粒子は一定だが限られた頻度でしか降り注がないため、高解像度の画像には数か月の露出が必要だ。得られたデータは再構成アルゴリズムでノイズを除去され、丘の密度モデルになる。既存の図面で岩盤とされる場所に有意な異常が見つかれば、保存担当者や考古学者は、ピンポイントで調べるための座標を得られる。

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