OpenAI、AI開発向けGitバックエンド「Pando」を発表
OpenAIはGit互換のバックエンド「Pando」を発表した。1日約1PBを処理し、プッシュ遅延を約5分の1に抑えるという。

OpenAIは、バージョン管理システムGit向けの独自バックエンド「Pando」を発表した。AIアシスタントが大量にコードを書く環境を想定して設計されており、標準のGitツールとの完全な互換性を保つ。同社によると、1日に約1ペタバイトのGitデータを処理し、変更のプッシュ時の遅延を約5分の1に短縮した。
AIの増加で従来のサーバーが限界に
Codexなどの自動コーディングツールの利用拡大で、同社のバージョン管理への負荷は急増した。OpenAIによると、年末までにモノレポへの四半期ごとのコミット数は2,400%以上増える見通しだ。従来のGitサーバーは、1日に数十〜数百件の変更を行う人間のエンジニアを前提に作られている。AIアシスタントが常時稼働すると、その頻度は1時間あたり数千件のコミットやマージにまで上がった。
その結果、既存インフラの信頼性は90%を下回った。コードのダウンロードやクローンの遅延、マージエラー、リポジトリのサイズ制限といった問題も生じたという。それでもエンジニアはGitのエコシステムとの互換性を維持した。問題の原因はクライアントやプロトコルではなく、従来型サーバーのアーキテクチャにあると判断したためだ。
Pandoの仕組み
開発期間は10週間。設計は1人のエンジニアが担当し、Rustによる実装はCodexエージェントのチームが行った。システムは4月に本番稼働している。
設計では、全ブランチを同時に一貫した状態に保つ要件と、クライアントの要求ごとに個別のpackfileを生成する要件を採用しなかった。Pandoは各ブランチへの書き込みを独立して処理するため、無関係なブランチの完了を待つ必要がない。プッシュ時はpackファイルを展開せずにBLOBストレージへ渡し、ブランチの新しい先頭などの情報をメタデータストアに記録する。取得時はpackfile-uriの仕組みでダウンロードリンクを返し、キャッシュサービス「Express」が地域キャッシュから配信する。同社によればヒット率は99%を超え、標準的な仮想マシンでは10Gbit/sのネットワーク上限に達する。
新規ブランチへのプッシュでは基準としてtrunkのみを通知する。そのため同一ブランチへ再プッシュすると、trunkにないデータが再送される。ただしモノレポのpackファイルの中央値が20KB未満であるため、許容できるトレードオフだとしている。
提供状況
Pandoのバックエンドはオープンソースではない。正式発表は2026年11月2日で、現在は一部の法人パートナー向けに限定プレビューとして提供されている。2027年第1四半期には、リポジトリの容量と操作数に応じた課金モデルで商用提供を拡大する計画だ。商用版には、AI生成コードの割合やマージ競合の頻度、リポジトリの成長速度を追跡する監視ツールも含まれる。
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