Quantum Diamonds、ダイヤでAIチップの欠陥を検出
ミュンヘンのスタートアップQuantum Diamondsは、合成ダイヤを使う顕微鏡でチップ内部の欠陥を特定する。1億5200万ユーロの生産拠点も整備する。

ミュンヘン発のスタートアップQuantum Diamondsは、合成ダイヤモンドを使った量子顕微鏡で、半導体チップ内部の欠陥を突き止める技術を実用段階に進めている。同社は1億5200万ユーロを投じてミュンヘンに生産拠点を建設中で、第1期分は2026年7月に開所した。
ダイヤの原子欠陥で電流を可視化
高性能なAIチップは多数の層を積み重ねて作られる。内部の不具合は従来の手法では見つけにくく、時間とコストがかさみ、製造の歩留まりも下がる。
同社は2022年、Kevin BerghoffとFleming Bruckmaierがミュンヘン工科大学からのスピンオフとして設立した。開発する量子ダイヤモンド顕微鏡は、合成ダイヤモンド中の原子レベルの欠陥を利用して微小な磁場を測定する。簡単に言えば、チップ内部の電流を可視化し、半導体を壊さずに欠陥の位置を特定できる。
会社側によると、この手法は世界の半導体大手上位10社のうち9社と検証済みで、TSMCやSamsungも含まれる。2026年4月からは、米カリフォルニアのEurofins EAG Laboratoriesと台湾のIntegrated Service Technology(iST)に初期システムが導入されている。
資金と今後の課題
生産拠点には総額9100万ユーロの資金が充てられる。内訳は、World Fundなど投資家からの1500万ユーロと、欧州半導体法に基づくドイツ連邦政府とバイエルン州の7600万ユーロ。同社は米アリゾナ州への移転も検討したが、約50%の補助率でドイツ残留が決まった。
現在の技術は個別のチップが対象で、今後は数百から数千個のチップが載るウエハー全体を高速かつ確実に検査することが課題となる。Berghoff氏は、最終目標を工場内での完全な品質管理としている。World FundのDaria Saharova氏は「欧州の次のASMLになる可能性がある」と語るが、同社はまだその水準には遠い。
ドイツではほかにも、チップ間光接続のBlack Semiconductor、メモリーのFMC、酸化ガリウムウエハーのNextGO Epiなどが育っている。大手半導体メーカーに採用されるには、歩留まり向上やコスト低減といった測定可能な利点を示し、既存の製造工程に組み込めることが条件になる。
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